ISBN:4087793796 単行本 Vジャンプ編集部 集英社 ¥980

多忙。アニメ溜まりすぎ。ラノベと漫画もそろそろヤバイ。
だけど、どんなに時間が無くともこれだけは書かなければ。
今日、息抜きに近所の本屋でブラリと行って驚愕。度肝を抜かれる。

「犬マユゲでいこう A・TiEMPO」
「犬マユゲでいこう URGENTE」

い、い、い、犬マユの新刊が出ているっ……!

絶句、そして即刻本を手にとって呆然。え、え、嘘、ほんとにマジで犬マユ? しかも二冊同時刊行? え? 夢?

まぁ大半の人は知らないと思うので説明。
「犬マユゲでいこう」というのはVJ(ブイジャンプ)という、そろそろ滅びそうな(失礼)雑誌で連載している漫画のタイトルだ。ただ、月刊誌である上に一回が4ページ(後に6ページ)と分量が非常に少ないので、単行本が出るのが恐ろしく遅い。滅茶苦茶遅い。
帯によると、今回の単行本は七年ぶりらしい。僕その頃小学生なんだけど(ちなみに、この漫画を知ったのは中学生の時だった)。既刊の一巻と二巻は絶版で、僕も一巻が未だに手に入らない。友人に借りて読みはしたけどね。
内容は色々。基本的には作者の石塚さんがプレイしたゲームについて面白おかしく描かれているのだけど、どっかに行った旅行記だったり、VJの編集部ネタだったりと。いずれも面白さはガチ。

今回の新刊のうち、「A・TiEMPO」の方は一巻、二巻の抜粋した内容も入っているので、知らない人でも手は出せるようになっている。久しぶりに読んだけど、「かまいたちの夜」の主人公とヒロインの名前(デフォルトだと「透」と「真理」)を、それぞれ「透と百人の忍」「真理とヒグマ」と設定する回の面白さは異常。電車の中で読んでいて、笑いを堪えるのに必死だった。
「URGENTE」の方は完全に新刊で、読んだことのないエピソードばかりでこれまた面白かった。のだけど、うん、確かに面白いけど、ぶっちゃけ6ページになってからよりも、4ページの頃のほうがテンポ良くて面白い気が。あと収録されている最新話が4年前のものとかマジ勘弁。ようやくPS2が出た頃の話ですよ?

まぁ面白かったし、SFCのゲームとか懐かしいね。つーかその頃のゲームをよく知らなくとも、ゲーム好きなら誰でも楽しめる漫画だと思う。
……だから次の新刊は早めにお願い。つーか今からでも出そうと思えば出せるんじゃね?
あと、帯の紹介文。秋本治(「こち亀」作者)はまだわかるのだけど、何故に宮部みゆき? そういや宮部みゆきも「ICO」のノベライズをやらせてくれと自らお願いした位のゲーマーだし、もしかしてガチでこの漫画好きなのかな?

久々にゲームがやりたくなった。時間がずっと無くて、DQ?とかMGS3すらまだやってないんだよね。コンシューマーのゲームは時間かかり過ぎ。
何にせよ、取り敢えずお勧め。是非。
ISBN:406314433X コミック 幸村 誠 講談社 ¥590

お久しぶり。ちょっと一週間ほど中国に行っていたもので。
そのせいかはわからないけど、今物凄い修羅場なので、しばらく更新途切れるかもしれない。どの位ヤバイかというと、プレゼン2本と原稿1本とレポート2本とテスト2回とディベートの準備に追われている状態。しかも中国の油まみれな食事で胃腸がやられ、帰国した日に雨に濡れたせいか熱が出てきた。溜まったアニメを観る暇すら無い。
また血混じりのゲロを吐いてしまいそう。ピンク色でキモいんだよねアレ。

さて。
そんな中でも、これだけは読まないわけにはいかなかった。僕が神と崇める漫画家、幸村誠の「ヴィンランド・サガ」。その最新刊がようやく出た。
週刊マガジンからアフタヌーンに移動したわけだけど、週刊というペースじゃどう考えても「プラネテス」レベルの質を保つことは不可能だし、まぁこれで良かったと思う。
どれだけ休載してもいいから、質を高めることだけを考えて描いて欲しいね。

で、今巻の内容だけど、もう素晴らしかった。元々凄かった画力には更に磨きがかかっているし。アシェラッドやトールズの格好良さは異常。
ストーリー的にはさほど大きな動きは無かったけれど、相変わらず面白い。宗教について語り合うヴァイキング達のシーンがお気に入り。
「だいたいよォ、オレロンドンの聖堂でイエスの木像を見たけどよォ、スッゲェ弱そうじゃねェ?」
「オーディン神やトール神のほうがかっけーよ」
とか、この辺の「軽さ」を描くのが幸村誠は上手いなぁ、と思う。
それでいて、ヴァイキングの誇りについて語るシーンになるとキッチリ格好良く描いてくれるのもいい。
「いかに戦い、いかに死ぬか。それが問題だ。敵は強けりゃ強いほどいい」
ありがちな台詞だけど、そういうシーンで魅せてくれると、やっぱり作者の実力を感じる。

てゆーかね、もうほんとに面白すぎだから。おまけのユルヴァの表情もめっちゃいい。ユルヴァ可愛いよユルヴァ。
本当はネタバレで細かく、一つ一つのシーンやキャラクターについて語りたいところなのだけど、時間も無いしこの辺で。
やっぱり幸村誠は最高だ。現時点で、僕の中のNO.1漫画家確定。
次巻が今から楽しみで仕方が無い。
アニメ:『ネギま!? 第一話』感想
「魔法少女リリカルなのは」「月詠」「ぱにぽにだっしゅ!」などのアニメでその名を馳せた新房昭之監督、その最新作は「魔法先生ネギま!」のアニメ化。
なんと深夜ではなく夕方枠の放送、しかも原作とはかけ離れたキャラデザでほぼ完全オリジナルということでどうなることかと思っていたのだけど、まぁ「ぱにぽにだっしゅ!」のあのノリだった。新房監督の持ち味バリバリ(笑)。

オープニングはナギとエヴァンジェリンの戦闘から。どシリアス展開と、なんと言えばいいのか、グリム童話の挿絵?みたいな絵柄に衝撃。しかもクオリティ高いし。流石、前期のスタッフとは違うことを早々に見せ付けてくれた(笑)。

オープニング以降はギャグ重視の、まぁいつもの感じ。麻帆良学園紹介のシーンはまさしく新房テイスト全開だね。「ざわ……ざわ……」とか、黒板ネタも健在(笑)。
第一話の展開はエヴァンジェリンの登場以外、原作とそう変わっていない。原作三巻のエピソードをかなり早いうちに消化するみたいだ。時間帯も時間帯だし、子供向けに戦闘重視の展開にするのかな。
それにしてもアーニャ可愛いよアーニャ。

作画は安定している。……のかな? いや、このスタッフが作画を崩すとは考えられないのだけど、所々すげー違和感を感じる部分があって。それがキャラデザなのか作画の崩れなのかよくわからない。
特に気になったのは委員長かな。顔もそうだけど、髪の毛にすげー違和感。髪の部分も輪郭を描いているせいかなー。

まぁ何にせよ、今期一番の話題作じゃないかな。色々な意味で。
夕方枠を与えられた新房監督がどうハジけてくれるのか楽しみにしつつ、今後の放送を待とうと思う。
アニメ:『うたわれるもの』総評
 
    ――きっと、……また会える日が来る――

         ――きっと――

 
 
最終話マジ泣き。
なんだこの名作は! アニメで泣いたのなんて初めてだっつーの!
最初の一話を観た時はえらくありがちな展開だし微妙かな? と思っていたのだけど、三話辺りからもう、グイグイ引きこまれていった。
途中で戦国伝奇ものからガンダムへ、そしてエヴァへと変わっていった(笑)時にはさすがにビビッたけど、それでも最後まで素晴らしい出来だったように思う。
作画も終始安定していたし、何よりも尺が足りない(と推測される。原作未プレイっつーか、アニメ観て最近プレイを始めたのでまだ途中)中でよくここまで見事に纏め上げた。シリアスなシーンに偏ってしまいがちなところを、五話や十八話の見事なギャグシーンがうまく中和しているし。本っ当に凄い構成。

全ての想いが収束する最終話にはもう、泣かされた。ミコトの「解体」に愕然として、アルルゥの「ちゃんと言うこときく! だから、だから……」辺りで目頭が熱く。そして直後の「この手ではもう、お前を撫でてやることは出来ないな」で涙腺が崩壊した。
「うそつき! うそつきうそつきうそつき! ずっと一緒って言った! ずっと、おとうさんずっと一緒じゃないとやぁ!」
声優さん、その名演技は反則だから……。

で、その後何とか落ち着いたのだけど、クロウ、べナウィ、カルラ、トウカが一斉に武器を構えるところでまたグッとくる。あのシーンには痺れた。各人物の、全てを覚悟したような表情が格好良くて格好良くて。その後の各攻撃も決まってたし。あの場面ってのは、人が神の庇護を放棄し、それを超えていく、まさにその決定的瞬間なのだと思う。

更にその後の別れのシーン、二大好きなキャラのトウカとべナウィでまた泣かされる。特にべナウィとの会話では、ハクオロとべナウィの間の決して揺るがぬ信頼関係がよく現れていて、すごくいいシーンだった。
そして「おとうさんいない、おとうさんいない……」
だからアルルゥは反則だよ!

エルルゥとの別れのシーンはとても綺麗。
ハクオロの「来るな! ……来ては、駄目だ……!」の台詞でまたもグッときた。つーかこのアニメ、声優の演技が凄すぎ。
キスシーンでは、一話から積み上げられてきたハクオロとエルルゥの間の絆がよく現れていたように思う。

エピローグで愕然。ユズハ死んでるよ!
でも、何かが吹っ切れたようなオボロを見ると、「うたわれるもの」はオボロの成長物語でもあったのだなぁ、とか思ったり。
ラストの振り返ったエルルゥは、いったい何を見たのか。
ここはまぁ、やっぱり僕の中ではハクオロ帰還ということにしておく。

一見地味だけど、作画・構成・演技など全ての面で非常に高品質な、本当に素晴らしい作品だった。
今は原作のPC版をプレイしているところだけど、PS2移植版も購入決定。
ここまで手放しで絶賛できるものを久々に見た。文句なしに名作。この上なく満足です。
アニメ:『ハチミツとクローバー?』総評
うん、よかった。最終回のラストはスネオヘアーで泣かされたし。竹本の声は、まぁ…………DVDに期待しましょう。
ただ、花本先生とはぐがくっつくというのが未だに受け入れられない。つーかね、先週アニメで花本先生が「ああ好きさ! 大好きさ!」とか言い出した時は冗談抜きで唖然呆然愕然だっての。え? 花本先生ロリ? みたいな。でもまぁ、この辺のストーリーに対する愚痴や不満は漫画の方のレビューで書こうと思う。

第一期と通して、これでコミックス全10巻がアニメ化されたわけだけど。
正直、ここまで恵まれた作品はそう無い。
アニメとしての出来も、作画は全編通して素晴らしいし、全体的に淡い感じで原作の雰囲気もよく出てるし、尺にも余裕があるからちゃんと一つ一つのエピソードをやれてるし。
原作ファンとしても文句無しの出来。つーかこれでグダグダ抜かしたらバチが当たるね。

個人的には、第一期と第二期、共にテーマ曲が物凄く気に入っている。特に第一期ED「ワルツ」は神。いやほんとに良すぎ。
シリーズ通して甘い声のYUKIがOP、落ち着いてしんみりした雰囲気のスネオヘアーがED(第一期後半は僕の中では抹消済み)だったわけだけど、作品の世界観にもマッチしていて滅茶苦茶いいOPとEDだと思う。
第一期・第二期、それぞれ最終回もEDのスネオヘアーで泣かされた。特に第一期のね、最終回だから「ワルツ」来るか? 来るか来るか? ともう本編そっちのけで期待していて、あのイントロが聞こえてきた瞬間。忘れられない。

画像は色々と良いのがあって、何にしようか迷った。自転車に乗る二人、ホーム抱き合う竹本とはぐ、そしてタイトル通りのサンドイッチ。
でもまぁ、この作品はやっぱりこれだろ、ということでラストシーンからの一枚。

とにかく(ストーリーは別として)原作の再現度という意味では、今まで見てきたアニメの中でもピカイチ。
DVDを欲しいと思わせてくれる、そんなアニメだった。
アニメ:『涼宮ハルヒの憂鬱』総評
 
 
 ――ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、
   超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上――
 
 
 
 
素晴らしいクオリティーだった……。第6話(最終話)のポニーテールは最強に可愛かったし。間違い無くアニメ史に残る傑作。
言うべきことは一つしかない。
第2期を。「笹の葉ラプソディ」「涼宮ハルヒの消失」を入れた第2期を。
京都アニメーション製作の「消失」が観られれば、もう何も言うことはありません。以上。

しかし……「射手座の日」「ライブアライブ」「サムデイ イン ザ レイン」。
こう並べてみると、改めて凄まじい質の作品だったなぁ、と思う。
だから第2期を! 第2期をっ!
アニメ:『ひぐらしのなく頃に 祟殺し編』総評
何だか最近アニメの感想ばかりだなぁ。
いやまぁ、本の批評を書くとどうしても時間がかかっちゃうから、その辺が今ちょっと厳しいんだよね。
ライトノベルの方もそこそこ読んではいるけど、レビューを書く意欲を湧かせるものが無くて。期待していた「銀盤カレイドスコープ」も前後編の前編だったし。
そんなわけで。
「ひぐらしのなく頃に」祟殺し編総評。

さて。
いつもの僕のやり方として結論から先に言うけど、最悪の出来だった。1話か2話くらい見逃してしまったのだけど、それを観たいという気も起こらない。
圭一の覚醒シーンは無く、雛見沢大災害をあのような形にカットしてしまう祟殺し編に何の価値があるのか。心の底から疑問。
綿流し編は割と良かったのに、何故いきなりここまで酷い出来に。
他の問題編と違って5話とったのだから、尺としても少しは余裕があった筈なのだけど……。

具体的に問題点を挙げると、一番致命的なのは大災害の描き方じゃないか、と思う。やっぱり。
原作でのあのシーンってのは、沙都子に殺されかかって里香ちゃんも死んで、もう滅茶苦茶になった状況を、全て一切合財完全に終わらせてしまう――ある意味、演劇で言う「機械仕掛けの神」的な役割を担っていると思う。
このあまりに唐突で不条理な『終焉』に対して読者は驚愕し、呆然とするわけだけど、うーん、これだとむしろ「物語の筋がよく分からない」という、原作者の意図とかけ離れた『驚愕』と『呆然』を味わってしまうのでは……。
あ、あと圭一がもう一度鉄平を殺そうと決意するシーンが有り得ない。あのシーンはあんな殺意に満ち溢れたものじゃない。もっとこう、追い詰められ切った圭一が「もう何もかもどうでもいい。せめて奴だけは殺す」という『諦観』に近いものを感じている、読者にある種の透明感を覚えさせる場面なのだ。

鈴木次郎の漫画版祟殺しはコミカライズとして素晴らしい出来だった(時間が取れたらこれについても書く予定)だけに、残念。
次週からは僕が原作で一番好きな(つーか泣いた)暇潰し編。問題編と解決編のインターバル的存在ではあるけれど、「ひぐらしのなく頃に」という物語においては非常に重要なエピソードでもある。
……頼むから何とか良いものを作ってくれ、スタジオディーン。
アニメ:『Fate/stay night』総評
 
 
――I am a bone of my sword.――
 
 
 
※以下「Fate/stay night」アニメ・原作両方のネタバレを含む。

はっきり結論から言おう、このアニメは失敗だ。

取り敢えず、構成が微妙過ぎる。原作の3つのルートを変に入れたおかげで、桜や凛辺りのシナリオがえらい中途半端になってるし。しかも2クールで変に長いから、内容がどうも薄く感じられてしまう。本当に奈須きのこが関わってるのこれ? 名前だけで殆どタッチさせてもらえてないんじゃ?
そして何より演出が駄目。例えば、序盤のセイバー召喚シーンは上半身から徐々に現われてきたりしてるし(そこはもっと一気に行くべき)、その後ランサーの宝具の真名解放のシーンもグダグダ。もっと溜めと間を上手く使ってくれないと、『―』を多用する奈須きのこ(=原作)の雰囲気は出せない。あぁそうそう、15話の恐ろしく出来の悪い竜のCGは笑うところなんですか?
この演出の下手さに加え、前述した構成の問題も、更にあまりアニメーションが動いていないのもあって、非常に冗長、退屈な出来になってしまっている。
ぶっちゃけ作画だけアニメ。

今回の構成では、Fateを基本にUBWとHFの要素をそれぞれ少しずつ足していたわけだけど。
僕が思うに、やっぱりFateじゃなくてUBWをメインに置いた方が良かったように思う。
UBWにFateのイベント、例えば約束された勝利の剣VS騎英の手綱なんかを盛り込んでいけば良い。Fateの対ライダー戦は割と独立性の高いエピソードだし、UBWでのライダーは脇役なので問題無し。あとはメインヒロインを凛からセイバーに変更。これもまぁ、概ね問題は無いはず。凛はもう、ある意味完成している人間だから、あんまり言及する必要無いし。囚われたセイバーに関する士郎の描写を充実させて、凛関連のイベントをカット・改変していけば何とかなるんじゃ。最終決戦の魔力ライン辺りはどうとでも設定捏造できるし。バーサーカーの扱いが一番の悩みどころだけど、うーん、UBW準拠が妥当かな。そうじゃないと話がまとまらないか。

で。
何故UBWベースなのか。
まぁ、僕が原作で一番好きなシナリオである(ちなみに僕が好きなのはバーサーカー&イリヤ、ランサー、ギル様に、まぁ一応アーチャー。メインヒロインでは凛。大体そんな感じ)からってのもあるけど。
えと、やっぱり「Fate/stay night」はどこまでいってもエミヤシロウ(敢えて片仮名)の物語なのだと僕は思うわけだ。
そのエミヤシロウが一番クローズアップされてるからUBW。まぁそれが一番大きな理由かな。
それに、UBWって一番それぞれのサーヴァントのキャラクターが立っているシナリオじゃない? アーチャーは言うまでも無く、バーサーカーも凄まじい意志を見せるし、ランサーは対アーチャー戦と凛を助けるところ、キャスターも陣地作成が大成功+葛木関連もあるし。例外は小次郎アサ、ライダー位だけど、それもFateルートから見せ場引っ張ってくれば十分フォロー可能。セイバーはメインヒロイン化、Fateのデートイベントを途中に挿入すれば十分OK。
シナリオのボリュームは必然的に大きくなるけど、今回アレだけグダグダだったのだから、もっとイベントを取捨選択して、演出できっちり見せるべきところを魅せれば(誤字にあらず)テンポも良くなる。
これで結構良さそうな気がするんだけどなぁ。
…………へ、HF? あれは他の2シナリオとはあまりにそぐわないので全カットで。いや、嫌いじゃないよ? 嫌いじゃないけど、ぶっちゃけランサーもギル様もあっけなく消えちゃうから悲しい。

結論。14話(アーチャ―VSバーサーカーの回)以外は駄目駄目でした。
演出さえしっかりしていれば全然違ったのに。勿体無いなぁ。
DVD ジェネオン エンタテインメント 2005/08/05 ¥9,975

というわけでようやく原作のゲームをやり終えて、劇場版の「Air」を観ることに(5/17の日記参照)。結局、2回ほどレンタルを延長する羽目になった。やれやれ。

でまぁ、ネットでも賛否両論のこの作品なのだけど。
はっきり言おう。
駄作だ。細かい部分で評価できる点は幾つかあるが、総じてあまりに酷い出来。正直、これ程までに酷い映画化作品は珍しいと思う。
観ていて呆然、そして爆笑。
僕はそうでもないので大丈夫だけど、原作に思い入れのある人は激怒してもおかしくないわ。
ただまぁ、単に酷いというだけの作品でもなく。その辺りが賛否分かれる原因か。
以下、シナリオなどについて具体的な感想。劇場版・原作の両方のネタバレを含むので注意。

音楽。
うん、まぁ、悪くは無い。特に往人が神社で観鈴を探す時に流れる、「鳥の詩」のアレンジは非常に良かった。
ただ、冒頭のオリジナルver.「鳥の詩」のブチ切れ編集っぷりは泣けた。何だよあれ。TVアニメなら時間の問題もあるけど、劇場版であれは無い。名曲が台無しだっての。
他にもいくつか駄目なところはあったけれど、それは演出と一緒にまとめて書こうと思う。

アニメーションとしての出来。
うーん、正直劇場版ならもう少し頑張って欲しかった。通常の深夜アニメなどに比べ、予算、人員、時間とあらゆる面で恵まれているのだし。作画は割と良い出来だけど、そんなのは劇場版なら当たり前。もっと動きがあって欲しかったな。
え? 1枚絵? それも演出のところで。

さて、いよいよここからが本番。
キャラクター。
酷い。あまりに酷過ぎる。全体的に原作のゲームよりも現実味を増した性格付けがされているのだが、それがあまりに中途半端。原作のようにフィクションとして吹っ切れているわけでもなく、かといってリアルでもなく。はっきり言って最悪の結果。全員、原作とはほぼ完全に別人。
以下、個々のキャラクターについて。

・国崎往人
熱い。「家族なんて偽者の笑顔浮かべてるだけだ。そんな奴らに俺の人形劇見てもらいたくねぇ」とか。「本当の本気なんて、存在しないんだよ!」とか。しかも冒頭のその台詞が後々まったく生きてこないのが意味不明。なんだこいつ。
原作では「悪い」となっていた目つきまでもが熱い。観ている最中、「誰かに似てるよなぁ」とずっと思っていたのだが、スタッフロールを眺めていて気付いた。あいつだ。「フルメタルパニック!」の相良だ。
ちなみに原作と違い、人形劇で笑わせるのは普通に上手い。人気者。
つーか、ひょっとしてこいつの母親生きてるのか?

・神尾観鈴
原作よりも大人っぽくなり、幼さを感じさせる部分が無くなった。しかし、原作の「にはは」「がお……」などが変に残っているため、ただの電波少女になっている感が強い。あいたたた。原作であれが許せたのは、観鈴の幼さと開き直ったフィクション的キャラクター作りがあってこそだというのに。
ぶっちゃけ「ぱたぱたぱたー」のシーンでドン引きしたわ。
あと、ネットで他の方の感想を読むと、「もっと彼氏らしくしてもいいのだよー! もっと仲良くしてくれてもいいのだよー!」という台詞に対して否定的な意見も多いのだけど、ここでちょっと萌えた僕は駄目人間でしょうか(笑)。いや付き合ってもいないのに何言ってるんだこいつ、という感じは確かにするけど、これは劇場版の観鈴ならではの良さが出ていたと思う。
でもそれ以外の部分は正直きびしい。この作品の最も大きな弱点である「中途半端さ」をよく体現しているキャラと言える。
他の設定。病弱のためろくに学校に行けない。あともう1人の自分が空にいる夢とか見ない。翼人と関係がある、という描写が殆ど無く、最後の最後に羽が生えた姿が少し映っただけ。愛する人に思いを伝えたら死ぬという、原作には影も形も欠片すら無い設定。にも関わらず、誰かと仲良くすると体が弱っていく、という原作の設定が中途半端に生きていて、どっちつかずになっている。
ぶっちゃけ大失敗キャラ。

・神尾晴子
まず観鈴と普通に仲が良いというのがあまりに衝撃的。これで原作の要素のうちの50%は消え去っていきました(笑)。
まぁ、尺を縮めるため+恋愛に焦点を当てるためという理由があるので、うーんまぁ、納得できなくもない、かな(でもやっぱりちょっと辛いかも)。
ネグリジェで往人に絡むシーンは悪夢としか言いようが無い。あのシーンがどういう意図で入れられたのかさっぱりわからん。

・霧島聖
観鈴の主治医として脇役で出演。この映画の台詞があるキャラクターの中で、一番原作と変わっていないっぽい(笑)。

・ポテト
TVに出演。相変わらずぴこぴこ。

・霧島佳乃、遠野美凪、みちる
群集の中のちょい役。台詞無し。みちるだけ2回出番がある。
ヒロインなのに聖とポテトより扱いが悪いのには笑えたけど、まぁこれは仕方が無いかな。

・神奈
なんじゃこりゃ。お転婆でも何でもないただのお姫様。
単に許してもらえないだけで、最初から飛べる。
「愛する人にその思いを伝えると死んでしまう」という出所不明な呪いがある(僧の呪術でもなく、先祖から受け継いだ穢れでも無く。翼人固有の設定? でもだとしたら翼人は子孫残せないんじゃ?)が、最後は呪いとか関係無く矢に貫かれて死亡。僧達の呪術にかかっていないにも関わらず、空に留まる。でも今はどこで何してるのやら(笑)。だって「空にいる少女」って往人の母親がちょっと言ってただけで、ストーリーにまったく関わってこないんだもん(笑)。

・柳也
なんじゃこりゃ。お調子者でも変わり者でもなく、普通のイケメン貴族。なんか原作で出てた後ろ姿とはかけ離れた容姿をしてるんだけど(笑)。
この神奈と柳也のキャラクター改変は、多分Summer編の尺を短くするためのものだと思う。うん、確かに劇場版の短い時間の中じゃあ原作のように仲良くなっていく過程が描けないから、原作の性格がいまいち生きない、というのもわかる。わかるよ。
でもね。いくらなんでもこれはやりすぎ。短くするために原作のキャラクターを変えちゃったら、それ原作を映画化する意味が無いから。本末転倒ですから。
そして柳也、なんと法術が使える。まぁこれも尺を短縮するためにも仕方ないかな、とも思うけどね。
最後は余命僅かな神奈を海に連れていくべく奮闘(なんと戦闘に独楽を使う!)、普通に死亡。子孫を残さない!

・裏葉
聖並みのちょい役。多分法術は使えない(笑)。

・八百比丘尼
原作だと「呪いで無理矢理生かされているのが、人魚の肉を食って不老不死を手に入れたという伝説になった」という設定だったのが、呪いが無くなってしまったので人魚不老不死云々が浮きまくり。神奈が近づいてきたので必死に牢の外に出るが、そこを槍で突き殺される。

・そら
最初から飛べるただの鴉。
あ、あんまりだ……。

・敬介
原作だと「彼なりに観鈴のことをおもっているキャラ」だったのが、ただの自己中に。往人に殴られるだけに存在した人。めっちゃ不憫。

まぁ、ざっとこんな感じ。最早「Air」じゃない。

構成、ストーリー。
原作のテーマが完っ全に消滅。
僕が原作をプレイして感じたテーマは「家族」と「受け継がれていくもの」の2つなのだけど。
観鈴と往人の恋愛に焦点を当てたため、Air編は全カット。これにより、「家族」というテーマは申し分程度の薄っぺらいものになってしまっている。自動的に晴子、そらは原作とかけ離れたキャラへ変貌。
また、Summer編で柳也が死亡してしまい子孫を残していないため、「受け継がれる」という要素も消滅。つーか柳也と往人、神奈と観鈴にそれぞれどういう関係があるのかがさっぱりわからない。というか誤魔化されている。この点ははっきり言って最悪。
この時点でもう原作とは完膚なきまでに別物なので、比較のしようが無かったり。
多分、劇場版は「何もかもを犠牲にしても恋を貫く」という姿を描いた作品だったのだと思う。
で、じゃあ観鈴と往人の恋愛はどうなのよ、という感じだけど。
最後のゴールするシーンで、観鈴がはっきりと「お母さんが一番、往人さんは二番目」と言ってしまっている。あちゃー。
この他にも敬介が来るシーンなどでは中途半端に家族の絆が描写されていて、どうも恋愛を焦点にしているとは思えない。
これもキャラクターと同じように、変に原作を引きずってしまった悪影響と言える。

ただ、テーマを別にすれば、具体的なストーリー展開のやり方は悪くない。
Dream編(つーか現代)とSummer編を平行させ、その手段として「夏休み課題のフィールドワーク」を使ったのは実に上手いと思う。
ただ致命的だったのが、先ほども少し言及した「ゴール」のシーン。何の理由も必然性も伏線も無く、いきなり海へ行ってちょっと歩いてゴール。さようなら観鈴ちん。
……原作の一番の山場をこんな風に使われたら、そりゃ原作好きはマジギレするよ。しかも変に「青空」とか使っちゃってるしね。「『青空』が汚されたように感じた」と言ってるファンは実際、少なくないようだし。
「はいはいどうせこれさえ入れておきゃ原作好きは泣いて満足なんだろ」と製作者が考えているのではないかと、原作ファンが邪推できてしまうシーンになっているように感じた(無論、製作者にそういう意図は無い…………筈)。

後はまぁ、キャラクターの項で言ったような矛盾というか、設定の甘さが目に付いたかな。
全体の構成は悪くない。とにかく中途半端だ。

演出。
もはやギャグ。
劇画のような1枚絵の多用、画面のコマ割り、スローモーションにして何度か繰り返し、往人の母親が話に出てくるたびに何故かいきなり能の舞台が映る、鬼の面を被った男が太鼓を叩くというわけのわからん比喩的描写など。全体的に古臭く、演出過多。
調べてみると、監督は「あしたのジョー」などを製作した有名な人らしい。
おそらく、その人選の拙さが演出だけでなく、作品全てに悪影響を及ぼしてしまっているのだろう。これは後述。
とにかく、作風に演出がまったく合っていない。「古臭い」というのはそれ単体では決して悪いことではないが、少なくとも「Air」という作品にそれは合わない。
そして演出過多。いくら効果的な技法でも、多用してしまっては目についてうざったいだけだ。
何より、「能」と「鬼の面をした男達が叩く太鼓」という比喩が何を示そうとしているのか、皆目見当つかんのは僕だけなのだろうか。
恋愛を中心とした物語で、いきなり「いやぁー!」「でやぁー!」とか言いながら太鼓を叩きまくる集団に出てこられても困る。
てゆーかギャグになっちゃってますから。

この映画が「Air」として成立していないのはキャラクターの項からも明らかだが、「ちょっと設定に齟齬があるが、まぁ普通の青春恋愛映画」としても評価できないのは演出と作風のあまりにギャップにあると思う。

・総括
つまるところ、これは「Air」としてもただの青春映画としても糞だ。
が、監督の出崎氏があのような作風であり、また原作をあまり重視しないことは分かりきっていたわけで。
出崎監督という時点でこのような出来になることは簡単に推測できた筈であり、つまるところ原作の良さと監督の作風についてまったく考慮しせず、ただネームバリューのみで人選を行った東映が屑ということなのだと思う。
……でもさ、出崎監督も原作をプレイする位はやっても良かったんじゃない?

おしまい。疲れた。
アニメ:『涼宮ハルヒの憂鬱 14話』感想
※6/5 全面改稿

「涼宮ハルヒの憂鬱」第14話。
これは「消失」直前の日常風景描写かな?
この作品はSF要素も幾らか入ってるけど、原作を読んでいて一番感じるのは「高校生活の面白さ」だったりする。こんな高校生活送れたら、毎日が凄く楽しいだろうな、とか。僕自身も実はまだ高校生で、部活やら何やらでとても充実した毎日を送っているとは思うけど、正直キョンが羨ましい(笑)。四季それぞれのイベントをこの上なく満喫しきっていて、これぞ青春真っ只中、みたいな。
この回は何事も無いSOS団の日常を描いていて、製作側はその辺の原作の良さをよくわかっているなぁ、という印象を受けた。
京都アニメーション製作のアニメを観たのは初めてだったのだけど、噂に違わぬ素晴らしい出来だった。作画や演出も素晴らしいけど、何より原作の理解度が半端じゃない。

さて、次週の放送は第4話(笑)。
3話の内容なんて覚えてる人は居るんだろーか。
この「次にどのエピソードが来るか」というワクワク感と、「ここでこれかよ!」という驚きははリアルタイムで観てこそのものだよなぁ。リアルタイムで観られて本当に良かった。

でもまぁ、ハルヒ派の僕としては、最後のハルヒの笑顔(画像参照)だけでももう大満足だったり。
やっぱりツンデレはいいよね。
所々で無理矢理ポニーテールにしていたりするのがたまらん。ええい、長門派には何故この良さがわからんのか!(つーかまぁ、僕が眼鏡っ子あまり好きじゃなくて、メインヒロインが大好きというだけの話なんだけどさ。やっぱりメインヒロインですよ。サブヒロインだと何だかこう、後味悪いじゃん?)

DVDを買ってしまいそうで怖い細二でした。
アニメ:『吉永さん家のガーゴイル』感想
今日はオタクな話題。

今期のライトノベル原作アニメと言えば、EDのダンスやら凄まじいクオリティーを誇る京都アニメーション製作やらで話題になっている「涼宮ハルヒの憂鬱」だろう。多分アニメ史に残る作品になるだろうと思う。
だけど、僕が今一番楽しみにしているのはそちらではなく、「吉永さん家のガーゴイル」だったりする。
まず、オープニングの曲がさりげなく良い。
明るくて雰囲気にも合っているし、出だしの

世界中でおはよう言えば きっと繋がっていくから

にはちょっと感動してしまった。
作画も安定していて○。安心して観ていられる出来。
また、主役の声優が若本さん(サザエさんでアナゴさん役をやっている方。僕が唯一知っている声優さんでもある)というのは初じゃないだろうか。
「ご町内ハートフルコメディ」と銘打っておきながら何気に重いテーマを扱っていて(盲導犬、ありがちと言えばありがちな美少女実験体ネタ、「人間は植物と話すべきではない」など)、しかしそれでいて明るいコメディとして成り立っているし。
あまり目立っていないけど、僕としては今期最大の当たりアニメだ。
梨々可愛いよ梨々。百式格好いいよ百式。

さて。
今回の放送は原作には無いアニメオリジナルストーリー(多分。原作は途中までしか読んでいないので)で、デュラハンと梨々の関係を掘り下げたものだったのだけど。
もうね、デュラハン健気過ぎ。
吉永家の門でガシャガシャやるシーンは涙無しには見られない程だ。
相変わらず良いところを持っていく百式も、便利屋扱いされつつあるケルプも良い味出している。
意地を張って吉永家に来ようとしない梨々も可愛いし、今回も楽しませて頂きました。はい。
是非ともこの調子を維持していって貰いたいところ。

「吉永さん家のガーゴイル」。お勧め。
ISBN:4840234418 コミック あずま きよひこ 角川(メディアワークス) 2006/04/27 ¥630

世間じゃ9連休の休みボケが云々言っているみたいだけど、GW中休みがたったの1日しか無かった僕には縁の無い話。むしろ疲れが溜まっていて、ここ1週間ほど風邪気味だったり。やってらんねー。
というわけで、2回目は軽くいってみることにした。つーか1回目が正直重すぎた。
あずまきよひこ「よつばと!」の第5巻だ。

「あずまんが大王」で4コマ漫画界に革命を起こしたあずまきよひこ。
似た作風の人は割と増えてきたけど、やはり「空気」の書き方がこんなに上手い漫画家はこの人だけだ。
普通に読んでも勿論面白いけど、細かく読めば読むほどに、構図や影の使い方などの上手さがよく分かる。そんな漫画。

実際の内容は、長く続いた「夏」の終わりを描いている。
父ちゃんの後輩であるヤンダの登場、ジャンボとの天体観測、そして夏休みの最後に行った海水浴。
今までの既刊と変わらず、安心して楽しめる脱力っぷりが素敵だ。
個人的には34話「うみ」の1ページ目がツボだった。
でもこの作品のキモって、そういうギャグ的な笑いじゃなくて、微笑ましさとかそういうことだよなぁと思う。

ちなみに、僕が一番好きなキャラはよつばの父ちゃんである。
4巻収録の27話「つくつくぼうし」のラストで、よつばに「つくつくぼうしは、セミでした」と報告された時の反応が格好良すぎる。あれには痺れた。つーか惚れた。
ああいう人が一番近くで見守っていてくれているからこそ、よつばはあんなにも純真なままでいられるんじゃないかと思う。作中にはまだ登場していないけど、仮に「悪意」をもってよつばに接する人間が出てきたとしても、父ちゃんはよつばをちゃんと守れる人間なのだろう。
あー、リアルでああいう人が居たら本気で尊敬するなぁ。

何にせよ、やはり良い作品だ。
余談だが、5巻のカバーを外すと、よつばが居ないモノクロの内表紙絵が現われる。
その絵を見た時に感じる僅かな寂しさが、いかにも「夏の終わり」という感じで何とも良い。